似たようなものだと思われがちな写真撮影とビデオ撮影ですが、実際はまったく別のものです。その違いを、スキルと機材の両面から簡潔にまとめました。
スキルの違い
写真は瞬間、ビデオは経過
写真には瞬間しか写りませんが、ビデオは経過をそのまま記録することができます。逆にいうと、写真は「決定的瞬間」でもって出来事を象徴的に表現することが可能ですが、ビデオではそういうわけにはいきません。
出来事をビデオで記録する場合は、あとで編集を加えるにしろ、まずはその経過をできる限りすべてカメラに収めておくことが要求されます。したがって、結婚式撮影でビデオカメラマンは常にカメラを回し続けなければなりません。
大事なのはカメラワーク
写真撮影であれば、シャッターとシャッターの間に撮影位置やアングルを変えることが可能ですが、ビデオカメラマンは、カメラを回しながら撮影位置やアングルを変えなければなりません。つまり、カメラを動かしながら撮ることが要求されます。
もしカメラを動かしている途中に画面がブレたりして使えない画になってしまったら、それは撮影を中断したのと同じことになってしまいます。ですから、ビデオ撮影のクオリティはカメラの動かしかた、つまりカメラワークで決まります。
カメラワークに必要なスキル
よいカメラワークに必要なのは、機動性です。それに必要なスキルは、先読みする能力と反射神経です。ビデオのカメラマン、特にブライダルビデオのカメラマンに求められるのは、何よりこのふたつのスキルです。
結婚式・披露宴撮影で、カメラリハーサルをおこなうことはできません。事前のリハーサルなしで、しかも撮影しながらカメラを操作したり移動したりするわけですから、結婚式や披露宴の進行を先読みしつつ臨機応変に動くことが何より重要です。
スペースの少ない会場で、ゲストの邪魔にならないよう動きまわるとなると、要求される熟練度はさらに高くなります。
ただ写すだけなら、アルバイトや駆け出しのカメラマンにも可能です。しかし、先読みしつつ臨機応変に撮影するスキルは、場数を踏むことでしか身につきません。そういう意味では、ブライダルビデオ撮影こそ長い経験が活かせるジャンルだと考えています。
機材の違い
レンズの違い
技術の進歩で、写真カメラでも普通に動画撮影ができる時代になりました。しかし、写真カメラとビデオカメラには、まだまだ違いがあります。
そのいちばんの違いはレンズです。
結婚式・披露宴のスナップ写真を撮るプロカメラマンはたいてい2台のカメラを首から下げています。あれはレンズ交換の手間を省くためです。1台には広角レンズ、もう1台には望遠レンズをつけ、同時に使えるようにしているのです。これは、必要な画角を1本でカバーするレンズがないということを意味しています。
それに対して、業務用ビデオカメラのレンズは、レンズ交換しなくても必要な画角がカバーできるように作られています。もちろんその分、写真用カメラに劣る部分も出てくるのですが、それは上の項に書いた機動性とのトレードオフになっています。
写真用カメラでビデオを撮る意味
しかし最近では、あえて写真用カメラでビデオ撮影をおこなう場合もあります。「映画のような」画面をウリにする場合です。
この「映画のような」というのは、一言でいえば、人物の背景を極端にボカした画面のことです。そういう画面は、一般的な業務用ビデオカメラのレンズでは撮影できません。ですから、少し特別な感じ、オシャレな印象になることは確かです。
私のスタンス
ただ、私個人としては、結婚式・披露宴の記録ビデオを写真用カメラで撮るのはおすすめしません。
そもそも「ボケている」ということは「ハッキリ写っていない」ということです。わざわざ情報量を少なくしている、ともいえます。「記録を残す」という意味では、背景にもしっかりピントが合った画面のほうがいいのではないでしょうか。
新郎新婦のお姿だけではなく、背景である会場の装飾やゲストの様子も大切な思い出です。オシャレな画面より、長く鑑賞に耐える記録を残したい。私はそう考えています。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。ビデオエフズ名古屋の結婚式ビデオ撮影については、以下のページで解説させていただいています。
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